4)元素戦略ビームラインの建設とその場光電子分光装置の開発

広エネルギー帯域VUV-SXビームライン新BL-2 MUSASHI (Multiple Undulator beamline for Spectroscopic Analysis on Surface and HeteroInterface)
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真空紫外から軟X線、硬X領域にかかるまでの非常に広いエネルギー範囲を、全領域に渡って高エネルギー分解能かつ高フラックスでカバーする、新しいビームラインBL-2 MUSASHI (Multiple Undulator beamline for Spectroscopic Analysis on Surface and HeteroInterface)の建設を現在進めています。 KEK-PFの長直線部に真空紫外用(30-300eV)と軟X線用(250-2,000eV)2台のアンジュレータをタンデム配置し、入射スリットレス、可変偏角Monk-Gillieson型の不等間隔平面回折格子分光器を採用することで、30-2,000eVの広範囲に渡って高エネルギー分解能かつ高フラックスな放射光ビームを供給できるビームラインです。更にBブランチには2結晶分光器を設置し、軟X線アンジュレータの高次光モードとの組み合わせにより、エネルギー範囲を4,000eVまで拡張することも可能です。 photo1 これにより、X線吸収分光としては、LiからCaまでのK吸収端、3d遷移金属と4d遷移金属全てのL吸収端、更に重元素のM吸収端をカバーし、H・Heを除く全ての元素に対応することが可能となっています。Aブランチのエンドステーションには、後述の酸化物ヘテロ構造その場高分解能角度分解光電子分光装置が常設され、この広帯域ビームラインとの組み合わせにより、真空紫外角度分解光電子分光による価電子帯バンド構造の決定と、軟X線光電子分光による内殻準位の測定を同一装置で行うことが可能となっています。 またBブランチには上流BHステーションには日立製作所の光電子分光装置が常設され、下流BFステーションはフリーポートとして持ち込み装置の運用を予定しています。

リンク:PFニュース Vol.33, No.1, 2015 「BL-2 MUSASHIの建設状況」


その場光電子分光装置の開発
photo1図1 レーザー分子線エピタキシー
+その場高分解能光電子分光複合装置

当研究室の研究理念である「ハイレベルな作る技術と見る技術の融合」を達成するための実験装置として、その場光電子分光装置を建設しており、日々改良を進めています。この装置は図1に示すような構成になっており、「作る」装置であるレーザー分子線エピタキシー(Laser MBE)と、「見る」装置のSES2002光電子分光装置とが、試料評価槽を介して、全て超高真空下で連結されています。Laser MBE装置で酸化物の量子井戸構造や原子層界面などを作製し、それを超高真空下のクリーンな状態のまま光電子分光装置まで移送し、その場で電子状態を観察することができます。


photo1図2 ビームラインに設置した実際の写真

この装置が現在新BL-2 MUSASHIビームラインのAブランチに常設されており(図2)、真空紫外アンジュレータ光を用いた偏光可変角度分解光電子分光による軌道を分離したバンド構造の決定や、軟X線アンジュレータ光を用いた内殻光電子分光やX線吸収分光等の化学結合状態分析、共鳴光電子分光による元素選択的な電子状態観察など、多彩な測定が可能となっています。

関係する主な論文:Rev. Sci. Instrum. 74, 3406 (2003).
リンク:
PFニュース Vol.28, No.3, 2010 「界面計測のための高効率・高分解能光電子分光装置の開発」